祖父母と私
記憶は朧げなところもあるが、あのときのことは鮮明に覚えている
私は祖父母の家にいた
平日は歩いて30分程度の祖父母の家で夕食を食べるのが我が家
小学校低学年のときは、祖母が自転車で迎えにきてくれた
祖母、
ここではいつもの呼び方にしよう
じいちゃん と ばあちゃん
じいちゃん
じいちゃんは家の2階の自分の部屋にいることが多かった
というかそれ以外の場所にいるところを私は見た覚えがない
時には2階の部屋から周囲の家までじいちゃんの自慢の歌声が響き渡る
よくタバコのお使いを頼まれたものだ
「この箱と同じものを買ってきて」
箱を片手になんちゃら商店まで行き、タバコの自販機へ
(小学生がタバコを買っていたら、今のご時世では大変な騒ぎかなw)
じいちゃんはセブンスター派
ばあちゃん
ばあちゃんはどこへでも自転車で出向く人だった
自転車の後ろに揺られてばあちゃん家に行く
昔の自転車の子供用の座席は座席ではない
我が家にいまある自転車の子供用シートはなんて立派なことだろう
日除のシェードも、雨避けのガードまである
私がそこに乗っていたあれはシートではなく、子供を乗せる用のただのカゴだ
よくもあんなカゴに乗りながら、じゃり道の振動をお尻で感じていられたものだ
私には弟がいるので、私がばあちゃん家に着くと、すぐにもう一往復だ
弟もお尻にじゃり道の振動を感じていたことだろう
(じゃり道ってもはや死語か?娘にいっても伝わらなそうだ)
小学校5年生になった私はもうばあちゃんの自転車の後ろに乗らずに
自分で自転車に乗ってばあちゃん家へ行けるようになっていた
なんとお尻が楽になったことか
成長とは素晴らしい
そんな日常を過ごしていた少年小宮
ある日の夕方のこと
「ご飯できたからじいちゃん呼んできて」とばあちゃん
階段の下から「じーちゃん、ご飯できたってー」と私
呼んでからしばらく来ないのがじいちゃんだ
少し経ってからのしのしと階段を降りてくるじいちゃん
襖近くのいつもの位置に座り込む
食事をしてしばらくすると
「舌が痺れる」とじいちゃんがポツリと言いました
私は確かに聞こえていましたが、
一緒にいたばあちゃんや母さんは「休めばよくなるよ」的なことを声掛けていたような。。。
変なことを言っているじいちゃんの言葉を印象的でよく覚えているけど、他のことはわすれてしまった
だってテレビ観てたから、少年小宮は。
忍たま乱太郎かな。
出会いは突然に
翌日、祖父、入院。
脳梗塞。
右片麻痺
失語症
構音障害
他にも高次脳機能障害があったかもしれない
入院中は酸素マスクもされていた
声掛けにも応じていなかった
すごく怖かった
だから、病院には行きたくないって思った
だから、面会には一度しか行けなかった
何度も誘われたけど、行けなかった
一度しか行けなかった面会では印象に残っていることがある
いとこも一緒に面会に行った
いとこはまだ五歳くらいだったと思う
もう少し下だったかな
いとこが、
酸素マスクをされ、モニターがついているじいちゃんの顔を撫で撫でしていた
私は子供ながらに
「触っちゃダメだよ、悪くなったらどうするの??」
って心配に思った
もちろんそんなことでは悪くなることはありません
むしろ、撫で撫でしてあげるべきだ
人の温もりは大切だ
面会中ずっと受け答えはなかったが、触られた刺激などは大切だ
信号となって脳へ情報を届けている
私は知らないために、怖かったのだ
知っていれば、
もし今の私が同じ状況にあったら、
ベッドをギャッジアップさせて、覚醒を促しているかもしれない
「寝ている場合じゃない、どんどん全身の筋肉が衰えてしまうぞ」
「脚動かして!!!」
って大きな声で激励しているかもしれない
本当はできることがあったのに、
知らないために、
できなかった
これが少年小宮と脳卒中との初めての出会い
自宅へ帰ってきたじいちゃんの話はまたどこかで。
日常から一変
きっとこんなことは世間にたくさんあるんだと思います
昨日までは、
ついさっきまでは、
そこから天変地異が起こる
知らなかった、
わからなかった、
ばあちゃんや母を責めているわけではない
「知らない」が理由で後悔してほしくないだけだ
そして天変地異は突然に起こったように思えて、
実は身体の中ではじわじわと変化が起こっているもの
それがなかなか表に出てこないから、私たちは自覚しようがないのだ
ではどうすれば良いだろうか?
生活リズムを整えよう
定期的に人間ドックへ行くことも大切かもしれない
人間ドックを受けるための補助金が各市区町村によってはあることも
自分の住んでいる街の役場に相談しても良いかもしれない
もっと根本にも目を向けて、
身体に負担のかかりにくい生活について考えてみよう
筋肉や骨には負担をかけるべきだ
その代わりしっかりと休息を取ろう
もし食べ過ぎ、飲み過ぎをしてしまったのなら、
胃腸を休めるために優しい食事(消化に負担のかからないよう)にしよう
しっかりと休息と運動を繰り返し、
身体の代謝を適切に働かせよう
※代謝とは、摂取した食べ物を吸収する作業(消化)、カラダを働かせてエネルギーを消費する作業(臓器の活動、運動)、カラダから不要なものを排泄する作業(消化)、この一連の流れを繰り返し行なうこと
毎日排便がないのは、代謝がうまくいっていない影響かもしれない
おならが臭いのは、食べた食べ物を消化しきれていないのかもしれない
風邪をひきやすいのは体温が低いからかもしれない
自分の身体と生活リズムについて考えてみましょう!
ご友人と照らし合わせてみてください!
自分がもっと身体に対してできることがみつかるかもしれません。
とにかく早く
それでも私たちの体は病気になります。
とにかく早く
自分が自覚ができるようになったら、
病気が表に出てきたら、
すぐに医者へ
特にじいちゃんと同じ脳梗塞や脳出血の場合は、
時間との勝負だ
脳梗塞なら、血栓を溶かす薬剤がある
だが、使用できるのは発症から時間制限付き
救急車で運ばれている時間や病院についてからの検査の時間も含まれるから注意
だから、異変を感じてひとまず休むのは危険
その判断がその先の明日を変えてしまう
そこを考えよう
もし違っても良いじゃない
明日も身体が元気でいられることを実感してほしい
そういっても医者へいくことを躊躇してしまうのが人だ
脳卒中を疑うときの簡便なチェック方法がある
こちらを紹介します
FAST:ファスト
F: Face (フェイス)
英語で顔のことをいいます
顔の表情や動きが左右で違いが出てきます
- 笑った際には半分しか動かずいつもと表情が違う
- ご飯を食べるとボロボロとこぼしてしまう
舌が痺れたじいちゃんも当てはまります
A: Arm (アーム)
英語で腕や手のことをいいます
片側の腕を挙げられなくなったり、挙げてキープすることができなくなってしまいます
- お茶碗を持とうとしてもうまく掴めない
- 腕がどこにいったかわからない
腕の動きをチェックすることは忘れがちです
ここテスト出ます
S: Speech (スピーチ)
英語で話すことをいいます
口周りの動きがうまくできず、言葉が不明瞭になります
話したいことがあるのに、言葉が思いつかない
- 舌がまわらなくなる
- ごにゃごにゃと何を言っているかわからない
- 頭がモヤモヤしてうまく働いていない感じがする
だれかと話していると気づかれやすいです
話している本人も自分の声が耳に届くので、違和感を感じるはずです
T: Time (タイム)
英語で時間のことをいいます
症状が出始めた時刻です
必ず時計を確認してください!
これがはっきりして、治療開始の制限時間内だと血栓を溶かす治療が可能になります
また脳出血の場合でも、出血が始まった時刻から計算して、出血量の推定や重症度の確認を行なうことができます
FASをチェックして、Tを確認
【朝起きたら、もう手足が動かず、かけ布団を払いのけることもできなかった】
そんな体験を教えてくれたクライアントもいます
日常生活において自分の身体の違和感や異変に気がついたら
まずはFASをチェック
そして、Tを確認
FASの一つでも当てはまれば、すぐに受診してください!!
一つも当てはまらない場合は、時間が経ってからもう一回だけ確認してみてください!
家族や友人にもこのブログを通して、伝えてください!!
知っているか、知らないかで日常が一変してしまいます。
無知であったことを後悔するより、
知っていて良かったとホッとできるように。
他のネットでもFASTについてはたくさんの記事がでています。
そちらを参照してくださっても結構です。
ぜひご家族や友人に伝えてください。
お願いです。
必ず伝えてください。
R-accion. 代表
脳卒中認定理学療法士 小宮良太
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